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簡素なチラシですいません。

いや、チラシが簡素だからといって、謝る必要はないのですが、

演劇のチラシというのはカンパニーから観客へのラブレターであり、

観劇へ誘(いざな)うためのプレゼン資料であり、

作品のイメージを伝える大事なビジュアル情報です。

チラシを見た人がそれで別段興味を示さなければそれまでのこと、

それはチラシを作った側が損するだけなのだから、簡素だっていいじゃないか。しかし。

チラシをざっと見て、そこから何も得るものがなければ、

ざっと見るのに使ったその数秒間を損させていますし、

なにより、限りある紙のリソースを無駄 n にしています。

「チラシにどれほどの効果があるかは分からないが、とりあえず適当に作るだけ作って 撒けるだけ撒こう」

と口走るイベント興行主の無計画は、

「声をかけるだけならタダだ、失敗したって失うものはないのだからとにかく人数行け」

と真顔でのたまうナンパ塾の塾長の詭弁と同じで、人の時間と地球の森林資源を損させています。

確実に損だと分かっていながら物事を進め、

明らかな損を発生させてしまったとき、

人は人に謝る必要があります。

簡素なチラシですいません。

 

ならばチラシなど作らなければ、と思うかもしれませんが、

チラシを作らねば誰もこの公演の存在を知ることができません。

それに、ただ作ればいいというものではなく、

興味を引くようなビジュアルや情報を載せて、

それで、それによって人が興味を持ってくださって初めて、

チラシはチラシとしての効果を発揮し、意味を持つのです。当たり前のことです。

それを、こんな簡素なチラシで興味を持ってほしいと、

虫のいい k ことを言っているので、謝っています。

演劇という、あまりコストパフォーマンスの良くないとされるエンターテイメントの公演にあたって、

せめて宣伝物の制作の手を抜き時短を図ることで、何かのバランスをとろうとしているのでしょうか。

いえ、そんなことはありません。芸事(げいごと)の本質・根本は、

やりたいから、やる。

おもしろいから、やる。

というものであり、コスパがどうのとかを結果論としてでなしに言い始めたらあまりよくないです。

ではなぜこのチラシは簡素なのか。それには明確な理由があります。

今回、舞台のセットに金がかかってしまい、

アドビのサブスク(フォトショップとイラストレーター)を更新する金が足りなくなり、

このチラシはマイクロソフトのワードで作っています。

ワードで作り、ワードファイルで入稿できるぞんざいな印刷会社を探し、見つけ、

そうしてこのチラシはあるのです。

金がないということはヒマもないということです。

デザイン性の高いチラシが作れないなら、アイディアでどうにかして、

クオリティの代わりにセンスやインパクトで勝負するなど方法を考える。

そういった工夫をするべきですが、工夫には時間(=金なり)がかかります。

そして印刷物というものは印刷所の納期が遠ければ遠いほど

(発注~発送までに時間がかかるほど)安くあがるのです。

とはいえチラシが届くのが遅ければ、それだけ宣伝期間が短くなるので、

なるべく急いで、できるだけ早く作るに越したことはない。

だから、簡素なチラシですいません。

あとこのクオリティーだったら、コンビニコピーでいいんじゃないかと思われるかもしれませんが、

印刷物が大量に必要な場合、印刷所に頼ん z でしまったほうが予算が抑えられます。

コンビニだと10円、ミニストップなら5円コピーもありますけど、

このチラシは1枚単価1円です。

と言いつつ、この紙の厚さはなんだ。

薄っぺらくないと理屈がおかしい。このチラシ「わざと」なんじゃないか。

だとしたら詰めが甘いのじゃないか。

そんなことはありません。

ペラペラの、朝刊に挟まってるスーパーの広告みたいなやつ、あれは、逆に高いのです。

「一番よくある」A4サイズの、「一番よくあるタイプの」中庸な厚みの普通の光沢紙。

どこの印刷会社でも、それが最安です。

へたに小さくして、B5とかを指定してしまうと割高となります。

そして、ある業者のサイトで、過剰在庫処分の、さらに安いこの紙を見つけたので、

一も二もなくこれにした結果、紙は、反対に、変に厚くなりました。

というようなわけが書いてはあるけれども、それは全部うそかもしれないですし、

このチラシやっぱり、実はしっかり時間をかけてデザイン・検討されており、

故意にそういう感じを装っているという可能性はまだ多分にあるでしょう。

とここまでに3箇所、誤字をしましたが、それもわざとなのでしょうか。それとも。

答えは、その両方です。

作っている自分たちにも、本当のところは、それは分からないのです。

そして、分かったとしても言わないのが大事です。

演劇とはそういうものです。

ただ、ひとつだけ言える嘘偽らざる事柄は、このチラシは今から15分前に作り始めて、

そしてあと今から15分以内に入稿する必要がある。ということだけです。

話は変わりますが、こういうのを面白がってくれる、チラシの作れるデザイナーさんいたら、

薄謝ですが次回公演のチラシを頼みたいので、なんらかの方法で連絡をください。

これで来る人は話の分かる人なのでポートフォリオなどなくても即採用です。

もうひとつ話は変わりますが、内容の如何に関わらずこういう、イラストも写真もデザイン文字もない、

ただ文章だけがバーっと刷ってある紙って怖いですよね。

こういう印刷物を読まねばならなくなったときのコツなんですけれど、

句点をすべて(^ε^)-☆Chu!!に脳内変換しながら読むと全然読めます。

あと実はこれ、カラー印刷です。証拠にここだけ青くしてみます。

いくつもの印刷会社で、モノクロよりカラー印刷のほうが「逆に安い」、という現象が起きていました。

用紙の厚さと金額の相関の不思議と、同じ道理です。

左利き用のハサミは高い。

ギターのエフェクターよりベースのエフェクターほうがちょっと高い。

薄い紙の方が実は高い。モノクロ印刷の方が逆に高い。

つまり、ノーマルから遠いことをやろうとするほど金は多くかかる。

金と社会はそういう仕組みになっている。

だからこそ、演劇は金(=時間)をかけてノーマルから遠いことをやるのです。

あとは公演情報を人が JPEG にしてくれたやつがあるので、

それを画像挿入でこの下に貼りつけて完成です。

簡素なチラシですいません。

宇宙論☆講座 一同

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